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平成30年3月28日に、税制改正法が成立しました。その中で、事業承継税制の特例についてご紹介します。
事業承継税制とは、中小企業経営者の次世代経営者への引継を支援する税制です。後継者が先代経営者から株式の贈与を受けた場合の贈与税、あるいは先代経営者が亡くなって後継者が株式を相続した場合の相続税のうち、一定の金額について、納税を猶予する、つまり待ってくれるというものです。そして、一定の要件を満たすと猶予されていた税額が免除されます。
この制度について、今後5年以内に「特例承継計画」を提出し、10年以内に実際に承継を行う者を対象として、次のような特例措置が創設されました。
上記1・2により、事業承継についての贈与税・相続税の負担がゼロとなります。
3は、これまで事業承継税制の制度を利用することを躊躇する要因になっていた雇用要件を実質的に撤廃するものです。
4は、中小企業経営の実情に合わせた、多様な事業承継を支援するものです。たとえば父から長男に、と1人から1人への贈与のみが対象でしたが、改正により、母やおじ・おば、父の友人といった人が保有していた株も対象となりました。
5は、経営環境の変化による将来の不安を軽減するものです。承継した株を売るとき、会社が合併により消滅するとき、解散するとき等には納税猶予が打ち切られ、猶予されていた税額を納付することになります。このとき、経営環境の悪化により株価が下がっている場合には、下がった株価を基に納税額を再計算することとなりました。
今回の特例制度は、従来の事業承継税制を原則的な制度として残した上で、平成30年から平成39年までの10年間限定の特例として設けられたものです。
特例制度の適用を受けるには、平成35年3月31日までに「特例承継計画」を都道府県に提出する必要があります。「特例承継計画」を提出しない場合は、従来の事業承継税制を使うこととなります。
従来・特例ともに、適用後5年間は毎年、都道府県庁へ「年次報告書」を提出し、税務署へ「継続届出書」を提出します。6年目以降は3年に1回税務署へ「継続届出書」を提出します。